30年ほど前、2頭の子象がアフリカから日本にやって来ました。
その2頭の到着を待っていた動物園には彼らを「出来るだけ幸せにしてあげよう!」
と覚悟をもって臨むベテランの飼育員さんがいました。
「皆んな、家族だからね」と 優しく接する飼育員さんに、
不安がいっぱいの2頭でしたが、少しずつ、少しずつ心を開いていったそうです。
最初の媛ちゃんは、リカさんが初出産という事もあり、上手に子育てが出来ませんでした。
子供が母親を恋しがるのは当たり前で、危害を加えてしまうかもしれないので
人工飼育で育てられることになりました。
飼育員さんが1年近く獣舎に寝泊まりして
媛ちゃんのお父さんとなり時にはお母さんとなりリカさんと一緒に育てました。
次に生まれた砥夢くんはお母さんがちゃんと育てあげ、
人に育てられたお姉ちゃん象は、砥夢くんと遊びながら 象の社会性を
学んで行くことになります。
人間たちはあくまでもサポーターでありゾウたちがそれぞれの役割を理解し、
家族としてこれから!というときに悲しい出来事が起こります。
偉大なるお父さん、アフさんの事故です。
私は会ったことがないのですが、色々な方の心の中に生きるアフさんの事を聞くと、
亡くなった今も、みんなの近くにいてくれて見守ってくれているような気持ちになります。
砥夢くんがだんだんとお父さんに似てきたことや、
媛ちゃんの性格がお父さんに似ていたり、
砥愛ちゃんの自由奔放なのは、実はアフさんの小さい頃に
似ていたりするんじゃないのかなぁ?とか考えながら
砥部で家族のいる風景を眺めました。
「みんなの中にアフさんが生きているんだね。」
・・・ちょっと鼻の奥がツンとなっちゃいました。
リカさんと砥夢くん、媛ちゃん、砥愛ちゃんたちがこれから家族を作って、
アフさんとリカさんが遠く離れた日本へ来てくれた奇跡を
沢山の人たちに伝えていくことを、私も遠くから見守りたいなと思いました。
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