宮子さんお誕生日おめでとうございます。

宮子さん、お誕生日おめでとうございます。

今年で48歳ということで実は宮子さんと私は同じ年なんです。自分が歩んできた時間と宮子さんの歩んできた時間を重ねていつも考えています。動物に人間の人生を重ねるなんてという人がいるかもしれません。

ゾウは喜びや悲しみなどさまざまな感情を持っているとされています。人と同じように学習し、状況に合わせて臨機応変な対応が出来ます。人間は辛くても逃げる事が出来るけど飼育されている動物はそこが全てになってしまう。

宮子さんにとってあの場所が全てです。ひとりぼっちで48年間です。とてつもなく長い時間です。

そこで、今年は宮子さんの飼育環境について要望は沢山あるのですが、せっかくの日なので疑問に感じている事では無く、ゾウにとって幸せな環境とはどんな環境だろうということを考えてみたいなと思います。


「あるところに、ゾウが幸せに暮らす、動物園があります。

そこには、何がありますか?」


到津で以前行われた「ゾウの幸せな暮らしについて考えるイベントにあったテーマです。みなさんも一緒に考えて貰えると嬉しいです。


■仲間と過ごす

ゾウは群れで生活してます。行き先を決めたり、外敵が現れた時に真っ先に立ち向かったりするリーダーがいます。家族の絆は深く、例えば仲間がハンターに銃で撃たれると、群れの仲間が危険を顧みずに助けに向かうという。今、どういう状況にあるのかを理解しているはず。それでも助けようとするのは人間と共通するものがあると思います。動物園でも単独飼育ではなくゾウ本来の姿で飼育して欲しい。人間と共存している動物園も仲間との関わりによって生じる満足感は与えることは出来ないのではないでしょうか。


■水場

体を沈められる深さだと浮遊で体が軽くなるので高齢や関節痛があるときには良いようです。横になれるような(100m2ほどの)ものだといいですね。(福山のふくちゃんのところのような)。基本的にゾウさんは水浴びが大好きで、野生でも水場に集まって水浴びをする姿を見られます。あと水浴びと水のみをするところは別がいいです。自然のように日々綺麗な状態なら問題ありませんが、色々溜まった水を飲むよりは別に用意してあげるほうが優しい感じがします^^;


■足元は柔らかい形状

足の負担を減らせるよう、柔らかな形状になっている。砂にしてもらえれば自分で泥調整も出来ますし、ゾウが自分で出来る選択肢が増えると思います。


■エンリッチメントの充実

「動物福祉の立場から、飼育動物の“幸福な暮らし”を実現するための具体的な方策」がなされています。動物園での飼育環境は、動物たちが長年かけて適応してきた本来の生息地の環境と比較すると、どうしても、狭く、単純で、変化が少ないものになりがちです。食事の時間が増える工夫や、運動量を増やすための工夫、ゾウが充実した時間を過ごす為に動物園がどのような努力をしているかは動物園の飼育風景を見ていると解ります。

できる限り生息地に近い環境を用意し、積極的に環境エンリッチメントに取り組むことが、ゾウを健康に飼育し続けるための重要な要因になるはずです。


■日よけがある

実は、アジアゾウは暑さが苦手なんです。野生のアジアゾウは夏場の暑いときは深い森の中で過ごします。森林の中で出来る日陰があれば言うことありませんが、無い場合は日よけが必要です。ミストも体感気温を下げてくれるアイテムの1つでクールダウンには効果的です。


■放飼場の面積

JAZAのマニュアルでは、ゾウ1頭に対して500m2の広さは必要といわれています。

それを基本的な考えとして・・・

広い方が色々な工夫が出来るのでいいですよね。狭いとやりたいことも出来ない印象があります。広くても工夫されていないのを見ると「もったいない」と感じます。

大きな体を鍛えなければ健康には過ごせません。狭いより広い方がいいですし、どうすれば運動量が増やせるのか?が大事なような気がします。

のんほいでは広くてふかふかの床になったことでダーナさんが地面に座っている姿を写真で見ました。上野のスーリヤさんは横になったりしています。

あと広さがあると言うことは、ゾウが私たちから一定の距離を置くことが出来るから精神的にも良い状況なのではないでしょうか。出来れば体を隠すもの(擬岩、壁等)があればいいと思いますが無い場合は奥行きを取ることでゾウにとって逃げ場となりますよね。

森の住民のアジアゾウ。喧噪は避けたいはずです。


■ぞうチームの存在

今まで訪問した動物園にはゾウのチームがありました。

どうすればゾウが幸せな暮らしが出来るか考え、工夫し実行されてます。ゾウと信頼関係を結ぶには長い年月が必要とされています。

一人で担当されていると、その方に何かがあったりした場合ゾウは孤立してしまう。一度心を閉ざしてしまったら如何することも出来ません(たとえチームがあったとしても、王子の諏訪子さんのように何かが原因で心を閉ざしてしまう場合もありますが。)日々、宮子さんのトレーニングして欲しい。「宮子さんが孤立しないよう、信頼出来る飼育員さんを複数存在させて欲しい」というのを以前園長に伝えたことがあります。私が訪問している時は複数になることはありませんでした。


■ゾウに選択肢を作る

何も無い放飼場よりも、フィーダーがあったり、水場があったり、体を擦る擬岩があったり、隠れられるものがあったり、冬場は寒いから部屋に戻って暖が取れたり、でも気分転換で自分から外に出て過ごしたり。食べ物をサラダバーのように自由に取って食べたり、そのほか色々ゾウの為の選択肢を沢山作っている動物園の飼育風景を見ているといいなぁって思います。人間だっていろんな選択肢で生きている。野生の象もそう。自然に近い形にするということは選択肢を増やすことでもあるのではないでしょうか。


言葉が話せたら、宮子さんはなんて言うだろうな。

宮子さんが、幸せに健やかに暮らせるよう遠くから祈っております。

象をめぐる冒険

日本にいるゾウがみんな幸せでありますように。

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