ナナさん

3月5日にナナさんが虹の橋を渡りました。3歳で日本にきて56年、長い年月を一人で過ごさせてしまいました。(ノンちゃんと23年間過ごした時間は貴重な時間でしたね。)ゾウは本来、仲間と群れをなす動物です。そして寒い場所に生きる動物ではありません。マイナスになる日も外に出ます。「寒さにも慣れた」なんて書いてる人もいたけど、慣れる訳ないじゃない。雪国育ちでも慣れません。ゾウは選択肢の中で生きている動物じゃないかと私は考えます。「暖かい場所」か「寒い場所」という選択肢があれば、「寒い場所」という選択肢は取らないはず。その選択肢しか用意しなかったのは、「人間」です。

1月19日に倒れてから3月5日に亡くなるまでの46日間、ナナさんはずっと暗い室内で横になっていました。

足をバタつかせるなど立ち上がれさえすればもしかしてという気持ちもありましたが、園の見守るだけという選択にナナさんは何を思い暗い天井を見上げていたのだろう。

この選択がナナさんにとって幸せだったのか今となって考えさせられます。

(競走馬は横になったままの場合、体の負担も考え「安楽死」という選択が取られます。人間が助けられない場合は、自然界で同じ事が起こった場合に助かるか、助からないのか・・・私の中ではこれを線引きとして考えます。自然界の場合は、仲間が近くにいて支え合って立たせたかもしれません。仲間がいない単独飼育のゾウは、支えてくれる仲間がいない。なら人間が支える立場にならなくてはいけない。おびひろ動物園に使うか、使わないか別として立たせる為の装置がないのは問題だと思いました。たらればで話をするのはやめて欲しいと思う人もいるかもしれませんが、もしその装置があれば…という後悔は残ります。)

そして、生きている時の姿を見せなかったのも、どれだけのことを動物園がしたかということを隠しているような感じがしました。46日間も本当に何もしなかったから公表できなかったのか、園はこれだけのことをやったんだというのなら逢わせて欲しかったし、生きているナナさんをみんなに見て貰った方が良かったんじゃないかと…思ったりしました。

動物園には、その動物に必要な設備を整える様にして欲しい。アジアゾウの場合、起立出来ないことは命に関わります。助けられる命が助けられない状況だけはやめて欲しいです。設置出来ないなら、ゾウを飼育を辞めて欲しい。いざという時に立たせられない状況はゾウにとっても、見守る方も辛い選択を迫られる可能性があります。

「日本に来て良かったね」とそんな風に思えるような、そんな飼育環境をJAZAとゾウを飼育する日本の動物園には作って欲しいです。ナナさんの生前の環境を、おびひろの園長や飼育員さんは誰も「不便な思いをさせた」みたいな事を言わないのを見て、私はそれってどうなの?っていう疑問が残りました。私はナナさんに「何も出来なくてごめんなさい」って、そんな気持ちです。


ナナさん、…長い間、窮屈な暮らしをさせてしまいました。これからは自由に好きな場所に行き、楽しいことを思う存分出来ますように。本当は生きているうちに…なんだけどね。


象をめぐる冒険

日本にいるゾウがみんな幸せでありますように。

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